あおぞら園 ~6歳までの保育~

よく「6歳までの子育てが大事」と言われるのを聞きませんか?

脳科学の研究においても、「人間の脳は6歳までに90%完成する」ということが、明らかになってきているそうです。
また私が学んでいるフラクタル心理学も、人は6歳までに人生のパターンを作るといいます。6歳までに子どもとどう関わるかはそれくらい影響が大きいと私も思います。

息子はあおぞら園という幼稚園に通っていました。
あおぞら園には園舎がない。集合は公園の広場。活動はひたすら外。

息子は外で遊ぶのが大好きというわけでもなく、家の中でひたすらブロックを組み立てたり、おもちゃのコレクションを並べたりして遊んでいるのが好きなインドアなタイプ。
普通に園舎がある幼稚園でも楽しく過ごせたのだと思うが、当時自分の力でやることに意欲的でない息子の性格を懸念して、子ども達の自立を目指し、生きる力を育てることを大切にしているあおぞら園に入園を決めた。当時はトイレトレーニングが進まなかったり、水嫌いでプールに入れなかったり、慎重でちょっとでもできなそうなことにはチャレンジしないというのが私の息子に対する悩みだった。

あおぞら園に入園して良かったと思うことはたくさんあるけど、とにかくこの5つ。

1、まずは先生たちが本当に子供のために保育をしているところ。
子ども達が興味を持って遊びに夢中になっている時は、時間や予定を優先せず、やり切ったと思うところまで付き合う。6歳までに自分の探求心がしっかり満たされ、知識を得る楽しみを知ることが、学校生活が始まって勉強するのにも、とても意味のあることだというのは私も実感している。

2、子どもの育ちを考え、手を出さない、口を出さないこと。とにかく自分の頭で考える癖をつける。そして親が一番育てられる!
失敗も成長の糧、試行錯誤して自分の頭で考えて、自分なりに解決方法を出させる。保護者にも手出し、口出ししないように言われるし、先回りするなとひたすら言われる(笑)

3、とにかく歩く!6歳までにつけた体力はその後も裏切らない!
日々の園生活は、集合場所の公園広場からたいてい遠くの公園に歩いて移動して、そこでもたくさん体を動かして、また歩いて帰ってくる。
月に1回ある遠足では高尾山をケーブルカーを使わずに登り降りしたり、往復14kmもある野川公園まで行ったりと、大人でも歩くのがきついコースを歩く。

息子も3年間歩き続けたので、卒園して丸3年経つが、私たち大人よりよっぽど体力がある。登山に行っても、後半しんどくなった中で、階段を駆け上がっていく姿は圧巻だ。

普段の学校生活だって、勉強や友達とのコミュニケーションに実はとても体力気力を使うし、放課後に習い事があったりすると毎日ヘトヘトだ。子ども達の生活のベースにはとにかく体力が必要なのだ。

4、五感で感じることを大切にしていること。
外には五感で感じる刺激がいっぱいある。
時間と共に変わりゆく自然の風景、鳥の鳴き声や川のせせらぎ、風の音や頬に当たる感触、草花や雨の匂い、食べられる木の実の自然の味。外には五感で感じるものが屋内の何倍もあり、子ども達は日々それを無意識に感じ、貴重な時間を過ごしている。

NLPでは、世界の認識は五感を通して行われるという。例えばカレー。カレー自体は”複数の野菜や肉が煮込まれスパイスで味付けされた料理”という事実があるだけなのだが、見た目や匂い、味や食感を通して初めて、カレーがどんな味なのか、好きか嫌いかなどの判断を人はしている。つまりより多くの五感を使った方が世界の認識が深まるのです。

園舎のない幼稚園になったのには理由がある。元々先生たちが勤めていた幼稚園が閉園になってしまい、それでもえみちゃん&もとちゃんという2人の先生に子どもを任せたいという保護者の方々がいらっしゃり、アパートの一室で保育を始めたのがきっかけだ。
それまでも子どもの成長を第一に考えてきたお二人は、実はこれで自分達のやりたい保育を自由にできると、わくわくしていたそうだ。

結局アパートの一室では、保育は難しく、「それなら」と活動は主に外でやることになった。普通の幼稚園にいた頃から、お二人はなるべく子ども達を園外にも連れだして遊んでいたようだが、それでも色々と制限はあったので、期せずして完全屋外という2人の理想(?)の形となったわけだ。

5、先生たちは子どもと友達。子ども目線で考えてくれること。
先生たちは自分たちの名前を“ちゃん付け”で教え、子ども達はみんな”先生”と呼ぶことはない。子どもは自分の世界に共感して!といつも思っている。先生たちは子どもの世界に共感し、気持ちを分かってくれる友達で、そんな大人の友達がいる子ども達はとっても幸せなのだ。

こんな環境で育った子供たちが幸せでないはずがない。
息子はやはり慎重なところは変わらないし、チャレンジできないこともたくさんある。でも少しずつだが前に進んでいくし、自分のやるべきことは理解していて、自分なりに時間を決めて生活している。

水嫌いも相変わらずで、毎年学校プールの期間は憂鬱だ。そんな慎重な自分のことも「だめだなあ」と思うこともあるらしいが、それでも「それも自分」と受け入れ、自分を否定することはない。自己受容感は驚くほど高い。

「あおぞらは良かったな~。ずっと遊んでいられたし先生は怖くなかったし楽しかったなあ。他の幼稚園は昼寝とかしなきゃいけないんだって(保育園だけどね)。眠くないのに昼寝なんてしたくないよね。あおぞらで良かったな。まああれだけ遊んだから満足だな」と息子は言う。

気持ちを満たされた子どもは次に向かう力を持っていると私は思う。

そして何より親である私自身がこの幼稚園に出会えて幸せだったなと心から思う。
子育て1年生の私に、厳しくも優しい指導をたくさんしていただき、子育ての大事な基本を全て教えてもらった。通っていた当時は分からないこともいっぱいあって、悩むことも多かったけど、コーチングを学んで、子どもの成長を見守っていると、本当に大切なことは全てあそこにあったと思う。
保護者同士の関係も濃く、卒園してもよく会うし、子育ての悩みも相談できる。大人になってこんな関係性を築けること自体がとても貴重だ。

いまだに遊びに行くと「あら、みなちゃん」と先生たちが暖かく迎えてくれる。帰れる場所があると感じられる場所があるというのは、親にとっても幸せなことだと思う。
そんな居場所があおぞら園だ。